約 7,633 件
https://w.atwiki.jp/zoom100/pages/84.html
仏具 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂〜三国伝来の仏教美術 念佛宗(念仏宗)無量寿寺式の仏具群。 念佛宗(念仏宗)式 仏具一覧 [写真集] 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 本堂 仏具 須弥壇 高欄、彫刻(腰彫刻、細物彫刻)、飾金具ほか [写真集] 吊灯籠 [写真集] 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 吊灯籠・輪灯 輪灯 [写真集] 天蓋瓔珞 [写真集] 円天蓋 [写真集] 曲録 きょくろく 折りたたみ式。 背板には「龍」が阿吽形の対で荘厳されている。 「唐草」「蓮」(過去現在未来の三世)などの飾金具で荘厳されている。 [写真集] 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 本堂・釈迦堂・観音堂 曲録 導師台 [写真集] 経典机 [写真集] 前机 [写真集] 三宝机 [写真集] 礼盤 念佛宗(念仏宗)無量寿寺式 高僧が座する礼盤とは、導師が座する、木製方形のしょう座のこと。 礼盤本体上に半畳を敷く。通常は須弥壇正面に配置し前方に経典机を配する。 念佛宗(念仏宗)無量寿寺の経蔵は世界三十三ヶ国と一地域の経典が奉納されている世界唯一の御堂であり、世界の高僧方が座する礼盤。 礼盤用の畳は「現代の名工」と称される葛巻久一郎畳師が製作した。礼盤の内寸に合わせて五段台畳を制作し、礼盤本体の構にはめ込み、周囲に鮮やかな縞の縦織りの縁が廻らされている。 畳師 名匠 葛巻久一郎氏 プロフィール 多くの茶室の畳、積層柔道畳・健康畳の開発など幾多の考案と改善、後進の育成にも尽力。 「現代の名工」(平成十八年) 「黄綬褒章」(平成十九年) [写真集] 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 経蔵(外部) 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 経蔵 礼盤1 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 経蔵 礼盤2 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 経蔵 礼盤3 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 経蔵 礼盤4 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 経蔵 礼盤5 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 経蔵 礼盤6(畳縁) 角杯 [写真集] 三宝 [写真集] 具足 [写真集] 「蓮」線香立 念佛宗(念仏宗)無量寿寺式 [写真集] 念佛宗(念仏宗無量寿寺) 線香立 廻向台・塔婆立 [写真集] 常花(花立) [写真集] 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 本堂 常花 釈迦堂 脇床仏像台座 [写真集] おりん・おりん台・棒 [写真集] 賽銭箱 本堂 幅4230㎜ 高さ900㎜ 奥行1030㎜ 釈迦堂・観音堂 幅3030㎜ 高さ900㎜ 奥行930㎜ 地蔵堂 幅1215㎜ 高さ600㎜ 奥行615㎜ [写真集] 五具足 蓮弁台座 花立・火立・飾香炉用 [写真集] 正月飾り [写真集] 散蓮華 [写真集] 舎利容器 鳳凰 鳳凰(木製) 奥の院 舎利容器台座 [写真集] 幔幕 幕取り付け金具 [写真集] 小厨子須弥壇 [写真集] 仏像台座 台座 [写真集] 石地蔵基壇 [写真集] 輪袈裟 袈裟について もともとインドの猟師などが着ていたぼろの衣をカシャーヤと呼んでいましたが、仏教にそれを取り入れたものです。 釈尊が生きておられた時代、比丘が煩悩に執着しないよう、ゴミ捨て場より拾ったボロ布を縫い合わせたものを僧衣・法衣として用いました。 その為、当時は、素朴な色である赤褐色で染めたものを着ていました。 袈裟というものは、すなわち、欲を離れる為に着するものです。 全ての苦悩は、煩悩に執着すること、欲望に執着する心から起こります。 執着を離れよと教えるもの、我々に気づかせてくれるものが袈裟であります。 袈裟は日本語ではありません。梵語そのままの読み方です。日本語に訳すと「中間」とか「中庸」という意味で「煩悩を起さない」という意味です。 その色は、色を見て愛着の心を起こさない為、原色をさけた色を用いています。 心身を清潔にして、衣食住に対する貪欲を払いのける仏道修行をする者には、なくてはならぬ法衣といえましょう。 ※中庸(ちゅうよう)どちらにもかたよらないで常に変わらないこと。過不足がなく調和がとれていること。中道。 ふつうであること。また、その人。凡庸。 [写真集] 経典 [写真集] 経典箱 [写真集] 念仏宗式仏具設置箇所 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 総本山 本堂 釈迦堂 観音堂 山門 経蔵 廻向堂 地蔵堂 五重塔 本館棟説法間 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 九州ふるさと霊園 納骨堂 廻向堂 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 広島別院 本堂 八階和室 七階説法間 落慶記念仏像 地蔵・観音 落慶記念仏像 弥陀一佛 念佛宗(念仏宗)無量寿寺式仏具 企画製作:株式会社 日輪 このサイトは、個人が念佛宗(念仏宗)無量寿寺の資料などを元に作成しており公式なものではありません。
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/300.html
陸奥国 会津郡 高久組 横沼村 大日本地誌大系第31巻 27コマ目 村より戌亥(北西)の方に横沼という沼あるにより名けしという。昔はこの村より寅(東北東)の方2町20間にあり、何の頃にか水災を患て今の地に移せり。 府城の西北に当り行程1里15町余、家数22軒。 東西1町18間・南北1町58間。 西北は田圃(たんぼ)にて、東西は神指村の端村横沼に連なる。 東3町40間上吉田村の界に至る。その村まで12町10間。 西は村際・南1間、共に神指村に界ふ。その村は南に当り40間余。 北5町28間界沢村の界に至る。その村は丑(北北東)に当り14町30間余。 また戌亥(北西)の方4町52間高久村の界に至る。その村まで7町30間余。 村の丑寅(北東)の方、越後街道に一里塚あり。 山川 黒川 村北3町40間にあり。 上吉田村の境内より来り、北に流れ西に折れ、凡9町余流れて界沢村の界に入る。 横沼 村の戌亥(北西)の方3町20間余にあり。 東西8間・南北42間。 寺院 長福寺 村中にあり。 真言宗横沼山と号す。本寺村恵日寺の末山なり。開基詳ならず。 もと村の丑寅(北東)の方1町にあり、慶長中(1596年~1615年)明盛という僧ここに移せり。 本尊大日客殿に安ず。 地蔵堂 境内にあり。 Google Map長福寺 稲荷神社
https://w.atwiki.jp/sexyvoice/pages/208.html
別れが人が成長するために必然の出来事なら、再会も必然なのだと思う。 それは、まるで神様がタイマーで計っていたようなタイミングでやってくる。 私とロボの再会の日も、そんな風に突然訪れた。 会わずにいた日々の空白は、驚く早さで埋まっていく。 私は17歳。今は高校二年生で、春休みが終わったら三年生だ。 中二で初めてロボに会った時より、少し背が伸びたし、大人の顔になったと自分でも思う。 ロボとの年齢差は同じなのに、以前より少し距離が近くなった。物理的にも、精神的にも。 ロボは27歳で、あいかわらず、冴えないサラリーマンで、ロボットオタクだ。 元々年齢不詳っぽい奴なので、ほとんど老けた印象はない。今でも時々、びっくりするほど子供の顔をする。 まるで少年がそのまま図体だけ大きくなって途方にくれたような、アンバランスで挙動不審なロボ。 このおかしな男が、ダイヤモンドのような美しい心の持ち主だという事実に、世間の女の人は まだ気づいていない。 でも、それでいい。気づいているのは宇宙で私だけでいいんだ。 こんな独占欲にかられるほど、私はこの奇妙な永遠の少年を愛しているらしい。 (だけど本人には絶対に言ってやらない。ロボはすぐに調子にのるから。) お互いはっきりと口にはしないけれど、他人から見れば、今の私たちは「恋人同士」に見えなくもないと思う。 ロボはもう、テレクラにも合コンにも行かないし、「一海ちゃん一海ちゃん」とも言わない。 自分のそばに、アホなオタ話につきあえるほど寛大な心の女の子がいる幸せに やっと、やっと気がついたらしい。(気づくの遅いだろ!) しかし、これが3年前だったら、家族が心配して、私たちは強制的に会うことを禁じられただろうし、 ロボは下手したら犯罪者扱いされてただろうから、結果良ければ全て良し、 神様は全てお見通しだったのか、と思う。 言い忘れていたが、最近、もう一つの再会があった。地蔵堂のよっちゃんだ。 「私ね、現役スパイだった時、世界中を飛び回ったのに、仕事仕事で何も見てこなかったの。 だから残りの人生で、世界中の見たかったもの、全て見てやろうって決めたの。」 「でもよっちゃん、あんたはまだ若いんだから、これ以上私の道楽に付き合わなくていいの、 自分のためにプロフェッショナルな仕事をなさい。」 地蔵堂の社長は、そんなことを言って世界に旅立った。 財産のほとんどを、小野一朗さんの名義で遺族に贈与して、 店と裏で持っていた権利やコネクションは全てよっちゃんに引き継いで 昨日はアフリカのサバンナ、今日はベネツィアのカーニバル、明日は北極のオーロラ見物と、 地球全部を遊び場にして、「よく遊ぶ」人生を送っている。 よっちゃんは裏の仕事も表の仕事も再開し、実質的には、今は「社長」になった。 (でも誰も社長なんて呼ばない。私たちの間では「社長」はいつまでも真境名マキさんだ。) で、「俺一人じゃ手が足りない。お前ら手伝えよ。」というわけで、私とロボはいつのまにか 「社員(というかアルバイト?)兼スパイ」に復活させられてしまった。 ロボと二人で地蔵堂の店番をしていた時、ついぼやきが出た。 「あー この休みが終わったらとうとう三年生か。憂鬱だな。進路、どうしようかな。」 「社会人は大変だぞ~。大学行けるなら、行った方がいいんじゃない。」 「でもさぁ、理系か文系か決められないんだよね、両方とも中途半端に苦手科目と得意科目があって。 国語は駄目だけど英語は得意で、数学は駄目だけど地学は得意とかさ。 こんなバラバラだと、どっちに行って何やればいいのかわかんないよ。」 「それなら、一海ちゃんみたいに教育学部に行って一通り全部やってみるとか。 じゃなかったら無理に進学しないで、け、け、結婚すれば?」 私は飲んでいたお茶を吹きそうになった。 「けっこん?なんで?」 「だってニコ、もう法律的には結婚出来る歳じゃん。」 唐突に何を言い出すんだ、このオタクは。 「なにそれ、冗談きっついよ。っていうかさ、結婚って誰とよ?」 「え~~~~~ 決まってるでしょぉ…。お、俺と…だよっ 」 「ロボ…それ、もしかしてプロポーズのつもり?」 「っていうか、予約っていうか~。ニコが大学行ってからでもいいしさ~。」 「…なんで急にそんなこと言い出すかな。」 「とにかく、俺はそーゆーつもりでニコと付き合ってるから。」 ロボは真っ赤になって唐突に親指を立てる例のポーズをすると、 「き、急用思い出したから帰りマックス!」と言って店を飛び出していってしまった。 なんだかな。「結婚?できるの?てかするの?ぷぷぷ」って、失礼なこと言ってた奴が、まさか自分から 言い出すとは思わなかったよ。 でもロボ、順番が逆だよ。だって私たち、キスもまだしてないじゃん…。 そんなことを考えながら無意識に自分の唇に触れる。店の鏡に耳まで赤くなった私が写っていた。 「お前ら、しばらく会ってなかったんだって? でもまたつるんでて良かったよ。仕事頼みやすいしさ。 ていうか、俺ずっと前に運命の出会いだって言ってやっただろ? お前みたいなのに付き合ってくれる女はニコしかいねーって。」 「あーーー。あの不味いラーメン屋さんのネズミの話?あれニコのことだったの?」 「ばっか お前、他にこんな珍しいほど趣味の悪い女がいるかよ。なあニコ? お前な、今度ニコ泣かしたら簀巻きにして東京湾に沈めるから覚えとけよ。」 誉められてるのか貶されてるのかよくわからないが可愛がられてはいる、らしい。 「よっちゃんこそ!ニコに横恋慕とかしないでよね!」 「するかよバカ。部下との恋愛は仕事の邪魔。で、早速だけど仕事上のコードネームを決めるから。」 「はぁ?コードネーム?」 「よくわかんないけど、ときめく言葉!」 「プロフェッショナルなスパイの基本だろ。お前は、ロボでいいな。んで、ニコは」 「私もニコでいいよ。」 「バカそれじゃ本名まんまじゃねーかよ。そーだな、ニコのコードネームはセクシーボイスでどうよ」 「いいね!かっこいい!!」 「何それ!やだよ恥ずかしい。」 「いいじゃないセクシーボイスで!今度俺に電話するときは、 『こちらセクシーボイス、応答せよ』とか言ってよ。超~萌える~。」 「誰が言うかー!」 「まあ、名前が使えない時用ってことで。ついでに俺のコードネームはダブルセブンフォー。 774だから覚えとけよ。」 「それもかっこいい!ねえねえ、俺ももっと凝ったやつがいいな。「赤い彗星」とか。」 「ロボ、お前はボロにしなかっただけありがたく思え。」 とはいうものの。今の実際の仕事はただの地蔵堂の店番なわけで。はっきり言って暇でしょうがない。 ミステリー小説を読みあさり、せいぜいスパイ気分を味わうだけだ。 「今回のヤマはちょっと難しいんだよ。お前らみたいな半人前じゃ無理。 やっぱプロフェッショナルが対応しないと。」 そんなことを言って、よっちゃんはほとんど店には顔を出さない。 「俺になんかあったら、これを開けて指示通りにしろよ。」 私は貸金庫の鍵を渡された。 「なんかって、何。」 「だから、何か非常事態だよ。」 「非常事態って。そんな危ないことしてるの。よっちゃん、今なにやってるの?」 「簡単に言えるくらいなら苦労はしないっての。半人前は首つっこまない。」 ある日、よっちゃんは大量の「粉砂糖」と書かれた段ボールを店に持ってきた。 「それ、何。今度は喫茶店でも始めるつもり?」 「…ただの砂糖だよ。ニコお前、絶対絶対ぜぇったいこれに触んなよ。 あと、俺のいない時に変な電話がかかって来たら、 『店番のアルバイトだから何も分からない。』って言えよ。社長の話も出すな。」 まあ、ただの店番っていうのは合ってるし、実際なーんにもわからないし、 社長はこの前タスマニアの奥地で撮った写真を送って来ただけで (驚くべきことにタスマニアでもあのファッションだった) 居場所も連絡先もわからないから、嘘ではない。 「あやしいんだよなぁ…。」 首をつっこむなって言われたけど、好奇心はそうそう簡単には止められない。 「ニーコ!バイトがんばってる~?」スーツ姿のロボが地蔵堂に来た。 「相変わらずお客は来ないし、暇だよ。ていうか、ロボこそ油売ってないでちゃんと働けって。」 そんな調子で結婚の話なんか出されても、説得力ないよ…。 「今日は営業先から直帰していいって言われたからいいのっ。ニコに会いたいから マックスダッシュで行ってきたんだからっ。 それよりこれ見て。営業先の人からおみやげ貰っちゃった。」 ロボには似つかわしくない、高級そうなクッキーの詰め合わせだった。 「今からお茶いれるから、一緒に食べよ~。ニコもおなかすいてるでしょ。」 ロボは勝手に地蔵堂の台所に上がり込み、鼻歌を歌いながら嬉しそうに紅茶を入れている。 まあ、いいか。 「いただきマックス!」 ロボはガツガツと口いっぱいにクッキーをほおばり、のどに詰まらせそうになって 慌てて大量の紅茶を流し込んでいる。飢えた子供かお前は。 「ロボ、クッキーは逃げないんだからもう少し落ち着いて食べな。」 「う~。なんかこの紅茶、変な味がする。腐ってんじゃない?」 「腐ってないよ? 昨日買ったばかりだし。」 「そうかなぁ…。 うわ!シャークイーンの大群がやってくるーー!地球を滅ぼす気か!」 ロボは突然立ち上がると、空中を見つめて暴れ出した。 「正義は負けない!マックスパーンチ!!」 「ちょっとちょっと!ロボなにやってんの!」 元々挙動不審な奴だけど、これはさすがに度が過ぎている。 「マックスキーック!マックスファイアー!」 「ロボ、ロボってば。」 「危ないっ ミサイルが飛んでくるぞ!ニコは俺が守ってみせる!」 ロボはいきなり私を抱きすくめると、見えない「何か」から庇うように覆い被さった。 「ロボ!どうしたのよ、わけわかんないよ、何やってるのよ!」 ラブシーンにしても、これじゃあんまりだ。私は無我夢中でロボの腕をふりほどき逃れた。 ロボは私を守ろうとする姿勢のまま失神して倒れた。顔色が真っ青だった。 「なんなのもう、ロボ!ロボ!起きてよ!」 ほっぺたを叩いてみる、ロボは意識を取り戻さない。 ふと、ロボが飲んだ紅茶のカップに気づく。 「まさか…」 思った通り、ロボが紅茶に入れてがぶがぶ飲んだのはよっちゃんが持ってきた「粉砂糖」だった。 私は慎重に、指の先にごく少量の「粉砂糖」をつけて臭いを嗅ぎ、舌の先に乗せた。 「やっぱり、これは麻薬…」 もちろん、それまで麻薬なんて私の生活に縁が無かったけれど、読みあさった推理小説に 描写されていたのと同じ味と匂いがした。 幻覚と興奮状態に続く意識の混濁。これは麻薬を大量摂取した時のショック症状だ。 「どうしよう、ロボが死んじゃう。」 とにかく、水で中和して吐かせよう。ロボの口元にコップをあてがい水を飲ませようとしたが、 意識の無い相手では、こぼれるばかりで上手くいかない。こうなったら仕方ない。 私は口いっぱいに水を含むと自分の唇をロボの唇に押し当て、口移しで水を飲ませた。 「なんで乙女のファーストキスが、こんなことに使われるんだ…。」 必死に何度も何度も口移しで水を飲ませ、ロボの口を強引にこじ開けると、のどに指を突っ込み、 胃のあたりを強く押す。 息をつく音がして、ロボは大量の水分とクッキーを吐き出し、うっすらと目を開けた。 「…バカ!ロボのバカ。あんなに意地汚くがっつくからだ。」 緊張が解けて、私はゲロまみれのロボに縋り付いて泣き出してしまった。 「え…俺、どうしたの…。何があったの…。」 「もう、死んじゃうかと思ったじゃん!」栓が外れたみたいに涙が止まらない。 「ニコ、よくわかんないけどもう泣かないで、大丈夫だからさ。」 なぜかこっちが頭を撫でられ、慰められる立場になる。 「うっわ、ゲロくっせー!早く顔洗って着替えてきて、もう!」 乱暴にロボを追い立てた理由は、安心したら唇の感触を思い出したから、なんて。 自分でも認めたくないと思った。 「とにかく、ちゃんと説明してもらうから。」私はよっちゃんを睨み付けた。 「いろいろあやしい商売やってるのは知ってるけど、麻薬の密売なんて。 私、犯罪の片棒担ぐ気は無いよ。」 「返答によっては、たとえよっちゃんでも警察に連れてくからねっ! 正義の使者をこんなことに巻き込むなんて!」 ロボは自分が死の一歩手前にいたことを理解すると怯え、次にプンプン怒り出した。 「だーかーらー 誤解だって。逆スパイだよ。逆スパイ。」 「なにそれ。」 「麻薬密売組織に入ったふりして、警察に情報流してんだよ。俺と真境名は決裂した。 真境名は警察に通じてたから、その情報売ってやるって言ってさ。 信用されるためには、密売人の仕事もこなさなきゃいけないじゃん。 まあ…お前らに黙ってたのは悪かったよっ。」 「それって、レオナルド=ディカプリオの映画みたいなアレ?」 「そ。でも、警察内部にも組織への密告者がいるらしく、イタチごっこなんだなーこれが。」 「組織と警察、両方にスパイがいるってこと?ますます映画と同じじゃん。」 「事実は映画より奇なりってね。もう少しで組織側の密告者をあぶり出せるところまで来てんだよ。」 「そうだったんだ。でも俺たちに言ってくれれば良かったのに。何か協力できるかもしれないしさ。」 「じゃあロボ、お前お歯黒女の時に作った探知機と同じの、また作れるか?」 「え?作れるよ。部品さえあればもっと小型化して性能良くすることも出来ると思う。」 「そりゃ助かる。2つ3つ作っといてくれよ。MAXとか余計な飾りはつけんなよ。」 「わかった。でも色は青に塗っていい?」 「塗るなっつの。目立たないようにしろよ。」 「よっちゃん、あのさ、私が言っても仕方ないけど、…くれぐれも気をつけてよ。」 「プロフェッショナルなめんなよ。」 よっちゃんはニヤっと笑った。 三日後、いつも通りに店番をしていたら電話がかかってきた。 「はい、地蔵堂です。」 「もしもし、真境名ってのは、あんた?」 低い男の声がささやく。何も知らないアルバイトのふりをしろって言われたけど。でも。 「ええ、そうよ。」とっさに私は社長の声真似で答えた。 「あんたのとこの若いの、預かってる。こういえば分かるだろ? 随分、ふざけたことを してくれたじゃないか。」 「…彼はどこにいるの。無事なの?」 「今はかろうじて、な。あんたがいなかったらこのまま海に沈めるところだった。」 動揺するな、動揺するな私。 「要求は何。」 「20億。明日の夕方6時まで待ってやる。場所は〇〇埠頭の××倉庫だ。 海外逃亡の資金にしちゃ安いもんだ。一分でも遅れたら、遠慮無くバラすぜ。」 バラすって、殺すってことだ。よっちゃんが殺される!! 「もうわかってんだろ。警察には行っても無駄だ。通じてる人間がいるからな。 警察に通報したことがわかったら、こいつの命は無いと思え。」 「待って。彼が無事だって証拠を聞かせて。」 男が受話器を耳から離す気配がした。遠くでよっちゃんのうめく声がする。 私は全ての神経を耳に集中させた。 「だから、真境名マキはいないって言ってんだろ…。脅したって無駄なんだよ…。」 「『社長さん』とは無事に連絡取れたぜ。お前、命拾いしたな。」 (ニコ、おまえ本当にバカだ。絶対に助けに来るんじゃねーぞ、馬鹿野郎。) 「もしもしロボ?」 「んんー?」 このオタク、肝心な時にまた寝ぼけてるし! 「もしもし、ロボってば、早く起きて!よっちゃんが、よっちゃんが殺される!」 「よっちゃんがコロッケさらう?」 私はうんとセクシーな声を出して言った。 「こちらセクシーボイス、ロボ、応答せよ。」 「は、はいっ」 電話の向こうで跳ね起きた気配がした。 「ロボ、出動だよ。救えるのは宇宙で私たちだけなの!」 「〇〇埠頭の××倉庫って言ってたけど、今そこにいるとは思えない。」 「そうだな。足がつかないように別のところにいて、直前に移動するよな。」 「とりあえず、海の近くではないな。波の音が聞こえなかったもん。 どっちかというと、住宅地…。でも普通の家の音じゃない、たぶん小さなビルかも…。 車の音から言って、大きな道路沿いだと思う。」 「ニコ、すごい。電話越しの音でそこまでわかるの。」 「ちょっと待って、もう少し思い出しそう。そうだ、〇〇駅!〇〇駅のチャイムが確かに聞こえた。」 〇〇駅は沿線の中でも特徴的なメロディーのチャイムを使っていて、印象に残っていた。 「〇〇駅近くの大きな道路沿いの小さいビル。そこまでわかればなんとかなるっ!」 「でもあの辺はそんな建物、いくらでもあるよ。」 「そこでこれが役に立つのさ。マックス探知機二号ーーー!!!」 「なんだそりゃ?」 「あのさ、よっちゃんに探知機作ってって頼まれたじゃん? 性能をテストしたくて、よっちゃんの靴に試作の探知機しこんでおいたんだよね。 後でこんなに小型で性能いいのが出来たゾーって、驚かせて自慢したかったからさ。」 私は思わず目を見開いてロボの手を掴んだ。 「偉いぞロボ!!」 「そうだ、貸金庫!貸金庫を開けよう。非常事態になったら開けろって言われて鍵預かってるの。」 「じゃあ、その中に武器とかが隠してあるの?」 「たぶん。とにかく行ってみよう。」 私たちは指定の貸金庫に急いで駆けつけた。 焦りながら中を開けると、「真境名社長に渡して下さい。」と書かれた封筒が一通。 「なんだろう。社長は海外だし、こんな事情だから中身見てもいいよね。」 中身を傷つけないように、慎重に封を開けてみる。 すると入っていたのは、よっちゃんから社長宛の手紙が一枚。 それだけだった。 漢字間違いだらけのその手紙は、今までの感謝と別れの言葉が綴られていた。 「何、これ…。」 私はへたへたと座りこんでしまった。 「こんなの、何の役にも立たないじゃん!よっちゃんのバカ!なに一人で覚悟決めてんの。 プッチーニの時に、あんなに社長が死ぬのを止めようとしてた癖に、自分は何なのよ!」 「よっちゃんがよく言うプロフェッショナルって、こういうことか。」 ロボはつぶやいた。 「確かに、俺たちには真似出来ない覚悟だ。すごいや。」 「どうしようロボ、私たち何の武器も持ってない。」 「爆弾ならあるよ。」 「え?」 「堪忍袋…宇佐美先輩を覚えてる?先輩が作ってた爆弾、暇つぶしに俺も真似して作ったんだ。 ニコに会えなかった間、日曜が暇だったんだもん。」 「それどれくらいあるの。」 「バケツ3杯分くらいかな?」 どんだけ暇だったんだ! てか、それ犯罪だよ。 私はいったん地蔵堂に戻った。「もしかしたらまだ、アレがあるかも。」 雑然と物が並ぶ物置の中、ほこりまみれになりながら目的物を探す。 「あったよ…。」 ケースに入ったZIの銃。銃撃戦の中、隣で見ていたから、使い方も覚えてる。 深夜。ロボはいつものベストではなく、たくさんポケットがついたへんてこなアーミーベストを 着て現れた。 ポケットは手製の爆弾でいっぱいに膨らんでいる。 「これさぁ、全部いっぺんに爆発させたら、小さいビルなら吹っ飛ぶよ~。」 ロボは自慢げに笑った。 「…俺たちも吹っ飛ぶけどさ。」 「意味無いじゃん!それじゃ自爆テロだっつの。」 ロボは私の持っている銃に気がつく。 「使えるの?」 「たぶん。」 「使わないですむといいけどなあ。」 「うん。」 言葉少なく車に乗り込む。自然にお互いの手を握り合っていた。 「爆弾積んでるんだから、目的地まで、安全運転してよね。」 「わかってる。今事故ったら確実にあの世行きだからね。」 ロボは鼻をこすって親指を立てる例のポーズをして見せた。 「マックスタート!」 神様、私 精一杯努力します。だからよっちゃんを助けるの、ちょっとだけ手伝って下さい。 「このビルだ…」 ロボが作った探知機は意外にも?性能が良く、よっちゃんがいると思われる建物はすぐに見つかった。 「マックス探知機によると、よっちゃんがいるのは3階のはじっこあたり。」 「見て!非常口がある。」 いい具合に表からは見えない。…行けるかもしれない。 「じゃあ、例の仕掛けを。」 「実行しマックス。」 少しずつ、時間と量をずらして、近くの公園から道、目的のビルへ、爆弾を仕掛けて歩いた。 近所迷惑この上ないが人の命がかかってる。 「作戦開始!」 私達は二手に別れて走り出した。第一弾の爆発が公園で起きる。突然の爆発音で、近所の人達が 外に出てきた。 あたり一帯がざわざわし始めたころ、第二弾の爆発と異臭。 「きゃあーっ!」 野次馬の人達を煽るように、私は悲鳴を上げる。 「ガス爆発だ!どこかで、ガスが漏れてる!危いよっ!」 本当はロボの部屋の生ゴミを爆発させただけだけど、そんなことを言って騒いでみる。 「本当だ、ガスの臭いがする!」「危険だ!」「ガスはどこから漏れてるの?」 だんだん大騒ぎになる。 「おまわりさん、あのビルから変な臭いがします!ガス漏れかも」 私は良識ある女子高生を装って、警官を引っ張っていった。駄目押しに、ビルの玄関で第三弾の爆発。 「警察だ、開けなさーい!!」ヤクザ風の男達がぞろぞろ出てきて言い合いになっている。 とうとうビルの住人達と警官がもみ合いを始めた。上手くいった! ロボはよっちゃんが一人になったすきに非常口を破壊して連れ出す計画だ。 その時、携帯が鳴った。 「ニコ、作戦変更だ、車に戻れっ。よっちゃんが裏からどこかに連れていかれる!」 私は全速力で2CVに駆け戻った。 「たぶん行き先は〇〇埠頭だね…」 私たちは、よっちゃんが乗せられた車を追跡していた。 「今度は住宅地じゃないし、撹乱作戦は出来ないな。」 「でも連れ出したのは一人だったし、なんとかなるかも。」 なんとかなる、二人でいればなんとかなるよ。ロボは小さくつぶやきながらハンドルを握っている。 私は黙ってZIの銃をそっと握りしめた。 予想通り、よっちゃんは身代金指定場所の倉庫に連れていかれた。 見張りの男に追い立てられながら、体を折り曲げ変な格好をして、足を引きずり、這うように歩く。 「見て。足を折られてるんだ。」 吐き気と痛みが込み上げてきた。 「ロボ、よっちゃんをお願い。私が囮になる。」 「え、え、危ないよ。」 「今助けられるのは、宇宙で私だけ。」 ZIの銃を持って、私は電話の男の声を真似て怒鳴った。 「お前、何やってるんだ!ボスが呼んでるぞ!」 見張りの男は一瞬狼狽えたようだ。 「早く来い!こっちだ!」 コンテナの陰に隠れながら呼びかける。 一瞬倉庫の方を振り向き、大丈夫だと思ったのか、男は私の声を追ってきた。 私は時々呼びかけながら、少しずつ倉庫から引き離すように移動する。 あと少しだけ手伝って!神様! 「コードネーム774!救出に来たぞー!」 「…なんで来るんだよ、バカ。」 「バカじゃないです、オタクです~。いいから逃げよう!」 「足をやられて、動けねーんだよ。ニコ連れて早く行けよ。」 「よっちゃんも連れてくよ!俺がおんぶしてやるから!」 「無理だって。」 「無理じゃない!火事場のマックスパワーだ!」 いくらロボに上背があっても、けして小柄ではないよっちゃんを背負っていくのは かなり大変だと思う。でもロボは飛ぶように2CVまで走る。 「ニコ!車を出すから大通りで待ってろー!」 ロボは私にだけ聞こえるくらいの声で言った。 倉庫の方向に戻るのは危険だった。私は、身を隠しながら沿岸の大通りに向かって走り出す。 ロボはよっちゃんを投げるように車に乗せると、急いで2CVを発車させようとしていた。 その時、もう一名、どこかに隠れていた男が駆け寄り、銃をロボの頭に突きつけるのが見えた。 心臓が、凍り付いた。 「あ、あ、あ。」 「いい度胸じゃないか。車を降りて、両手を地面につけろ。」 「ひぃ。」 ロボとよっちゃんは、2CVのすぐ側に転がされて銃を向けられていた。 私が誘いだした見張りの男も気配に気づいて、戻っていた。 「真境名の差し金か。もうすぐ二人纏めて海に沈めてやる。」 「こいつら、もう一人仲間がいるぜ。」 「すぐにそいつも見つけ出すさ。」 突然ロボは口をとがらせて言った。 「これ以上、仲間なんかいないから、探したって無駄だよ!」 「何を言ってる、確かにさっき…」 「俺たち、友達も少ないしモテないんだよ!仲間なんかそんなにいるわけないじゃん。 ねー よっちゃん。」 「そーだそーだ、俺たちは友達も仲間も家族も彼女もろくにいない孤独な独身男だぜ。」 「日曜日になるとスーパーの家族連れが羨ましくてさー。」 「そーそー、サザエさん見ると切ない気持ちになるんだよな。」 「ケーキが食べたくなっても気が引けて一個下さいって言えないんだよねっ。」 「お一人様ですかって聞かれるのが寂しくて、ファミレスにも行けねーんだ。」 ロボとよっちゃんは緊迫した状況下でマヌケな会話を始めた。 恐怖と可笑しさと悲しさでぐちゃぐちゃになって涙が出そうになる。 「ニコ早く逃げて」 ロボは自分のつぶやきが私に届くことを知っている。 男が銃を握り、ロボの頭に当て直した。 「それじゃ、数少ない仲間と一緒にあの世に行けるのは本望だろ。死ね。」 「動くな!」 私はZIの銃を構えて叫んだ。 「残りの一人か。」 必死にZIの動作を思い出し、銃の撃鉄を上げた。 「こんなお嬢ちゃんがお仲間か。あんたにその銃が使えるのか。」 私は黙って、威嚇射撃をした。反動で手元が狂って、かえって男の頭上すれすれに弾丸が飛ぶ。 男の顔色が変わった。 「私は真境名からスパイの訓練を受けてる。私の方が腕が上だよ、おじさん。」 男達は顔を見合わせた。 「武器を捨てて、両手を挙げて。その二人を車に戻せ。」 「何を…」 「言うとおりにして!」 もう一発撃った。足元を狙ったつもりなのに、今度も狙いが外れて男の顔面すぐ横に弾が飛んだ。 男達は銃を地面に投げ捨てる。 「命が惜しかったら、動かないで。」 私は、右手で銃を構えながら、左手で男が捨てた銃を拾おうと少しずつ近づいていった。 すると一人の男が急に背後に移動し私の右手首を掴みねじり上げた。 「痛っ!」 「残念だったな。・・・う!」 私は渾身の力で左ストレートを男の股間に食らわせた。 男は股間を押さえて私の右手を離す。 …奴らは私が左利きだということを知らなかった。 それを合図のように、ロボは自分のポケットから爆弾を取り出し次々に投げた。 「食らえ、マックスボンバー!」 続く爆発音に、男達はパニックになった。 よっちゃんは地面を這うようにして男の銃を拾い、海に投げ捨てる。 私達は、足の利かないよっちゃんを支えて2CVに乗り込んだ。 「マックスタート!」 運良く2CVは軽快に走りだした。すぐに、男達は車に乗って追って来ようとする。 「ニコ、その銃貸せ!」 よっちゃんが窓から身を乗り出し銃を構え、リズミカルに四発の銃声が聞こえて、 男達の車がパンクして動かなくなったのが見えた。 海風を受けて、2CVは走り続ける。 「いやー。ニコのはったりには驚いたよ。すっげぇ迫力だったじゃん。」 「そーそー。スパイの訓練受けてて腕が上だって。生まれて初めて銃に触ったのにさっ。」 「だって」 私はほっぺたをふくらませて言った。 「半分は嘘じゃないじゃん。」 結局、よっちゃんは両足の複雑骨折で入院した。 「お前ら、いつのまにかプロフェッショナルな仕事してんのな。借りが出来ちゃったよ。」 よっちゃんが追っていた警察内部の密告者は、飲酒運転という間抜けな罪で逮捕され、 よくある警察内の不祥事として表向きは報道された。よっちゃんは警察関係者から報酬を貰ったけれど、 社会的には何の名誉も得られないし、何の感謝もされなかった。 スパイはあくまでも陰の人間、表舞台にはけして出てこない存在で、 それでもどうしようもなくこの世界に関わっていく。それがよっちゃんや社長が選んだ生き方だった。 「はいこれ、社長からのおみやげ。」 舌を噛みそうな名前の「南の島」から航空便で、現地に伝わる「幸運の人形」が送られてきた。 が、輸送の途中で壊れたらしく、足がぽっきり折れている。 「なんだこりゃ。足折れてんじゃん。縁起悪いなー。」 「きっと人形が身代わりになって助けてくれたんだよ。」 社長は、今回の件を知らない。「あの人は何十年もこういう生活をしてたんだから、今は羽を伸ばせば いいんだよ。」と、よっちゃんが知らせなかったからだ。 私はよっちゃんの病室に、(ロボが直した)「幸運の人形」と「よっちゃん様」を並べて吊した。 「おいおい変なモノ飾んなよ。」 「結構可愛いじゃん。」 「あのさ、ニコ。」 「何?」 「お前、本気で将来スパイにならね? 才能あるよ。マジで。」 「前向きに検討しとく。」 病室を出る時、今度は一海ちゃん連れてお見舞いに来るよーと言うと、よっちゃんは複雑な顔をした。 会社帰りのロボと駅で待ち合わせする。 いつもの帰り道を、二人並んで歩く。3年前当たり前だと思っていたこんなことが 当たり前じゃなくなって、今また当たり前のようにロボと一緒にいるのが不思議だった。 「よっちゃんどうだった?」 「思ってたより、元気。」 「そっかー。俺も今度の日曜お見舞いに行くかな。 よっちゃんってエルガイムとダンバインどっちが好きだと思う?」 …その会話、常人には限りなく意味不明だよ。 「ねえロボ。私、よっちゃんのことよく知らなかったんだな、って思ったよ。」 「うん?」 「よっちゃんが背負ってる物のこと。何も知らなかった。 あんな…ハードボイルドな生き方してるんだって。もっと気楽な人かと思ってた。」 「他人のことなんてさ。何十年一緒にいたってよくわかんないもんだよ。」 ロボは言った。 「自分の親だって兄弟だってさ。あ、こんなこと考えてたんだ!ってびっくりすることあるじゃん。」 「うん。」 「正直言うと、ニコのことだって俺にはわからない部分はいっぱいあるし、 ニコも俺のことがわからないかもしれないし。」 私は、ロボが昭子さんと行ってしまった時のことを思い出した。 「たぶん、他人を本当に理解するなんて、不可能なんだと思うよ。」 「そうか。そうかな。」 「だからいいんじゃないかな。理解できないからこそ、理解しようと努力するし、 少しでも何かを分かり合えた時には嬉しいとか、愛しいとか感じることが出来るからさ。」 パズルだって簡単すぎるとつまんないでしょ、とロボは笑った。 ロボの口から出た「愛しい」という言葉が私の耳を甘くくすぐって、どんな顔をすればいいかわからなくなる。 「あのさニコ。助けてくれてありがと。」 「ん?」 「俺あの時、もうニコが助かればいいや、って思ったんだよね。でも、命がけで来てくれたじゃん。 かっこよかったよ。怖くなかったの?」 …怖かったよ、ロボ。ロボの頭に銃が突きつけられて、今にも撃たれそうなのを見た時、 三日坊主の銃の前に飛び出した時より、ZIの銃撃戦に巻き込まれた時よりも ロボが目の前で殺される方が私は怖かったよ。 「ロボにはミサイルから守ってもらった恩があるからな。」 「何の話?」 「なんでもないよ。」 いつか意識のあるときにやり直ししてよね。 「ニコ、…こっち見て。」 ロボはそっと、私の肩に手をかけ引き寄せると、覗き込むように顔を近づけた。 私の心の声が聞こえたはずは無いのに、なに、なにこのシチュエーション。 ロボの、子犬みたいな黒い目が間近に迫って、私は息が詰まって、そしてロボは、 私のおでこに優しくキスをした。 「…そっちかぁ。」 「え、何。」 「なんでもない。」 「怒った?怒ったの?」 「怒ってないよ。」 「だってニコ変な顔してる。怒った?嫌だったの?」 「怒ってないってば。」 「本当に?本当に怒ってない?」 「もう!うるさいな。」 私はえいっと背伸びをすると、乱暴にロボの後ろ頭に手をかけて、いつまでもさえずり続ける ロボの嘴に、自分の唇で蓋をした。 ロボは目を白黒させて真っ赤になって、そして世にも幸福そうにニカーッと笑った。 「…そんなことされると期待しちゃうだろ~」 俺、将来に希望を持っていいのかな。もう忘れられるのは嫌なんだ。 ちょっと寂しそうに呟いたロボの横顔に夕日があたっている。綺麗だ、と思った。 私は黙って手を繋ぎ、ブンブンと子供みたいに振って歩く。 私の知らないロボ、ロボの知らない私、見えない溝はこれからも二人の間に永久に存在するんだと思う。 一緒にいてもわからないことはたくさんあって。解けないパズルを解き続けるようなもので。 だからその溝を跳び越えた一瞬、その瞬間を心から 愛しい、と思った。
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/487.html
陸奥国 大沼郡 中荒井組 梁田(やなた)村 大日本地誌大系第33巻 28コマ目 府城の西に当り行程2里18町。 家数18軒、東西1町6間・南北1町36間。 四方田圃(たんぼ)なり。 東4町10間高田組新屋敷村の界に至る。その村は寅(東北東)に当り8町。 西2町18間小沢村の界に至る。その村は戌(西北西)に当り3町。 南18間高田組立行事村の界に至る。その村は辰(東南東)に当り7町30間。 北48間大石目村に隣りその村際を界とす。 山川 逆瀬川(さかせかわ) 村の未(南南西)の方50間余にあり。 小沢村の境内より来り、2町余東に流れ立行事村の界に入る。 広10間余。 神社 登我和乃神社(とかわのじんじゃ) 祭神 大己貴命 相殿 伊勢宮 4座 熊野宮 2座 若宮八幡 2座 稲荷神 2座 宗像神 2座 御稷神 山神 石神 富士神 白山神 関神 鎮座 不明 村中にあり。 鳥居あり。宮下村渡部出羽これを司る。 寺院 六地蔵堂 登我和乃神社の北にあり。 創立の年代詳ならず。 河沼郡坂下組坂下村定林寺これを司る。 古蹟 館跡 村中にあり。 東西40間・南北40間余。 民家となれり。 千代和泉守という者住せしという。 今、村西1町墓所の中に石塔2あり。 一には『慶雲院殿徳巖源祐居士天文十八五月二日千代和泉守包直』、一には『光岸院殿沿正機居士慶長七年八月十日千代和泉守包家』と彫付けあり。 Google Map村社登我和神社 正法院 八幡神社
https://w.atwiki.jp/zoom100/pages/117.html
仏像彫刻 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂〜三国伝来の佛教美術 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂の仏像制作に関った仏師 中国工芸美術大師(人間国宝) 余国平仏師 [China] Mr.She Guo Ping Great Master of Arts and Crafts (Living Natinal Treasure) of China Born in 1950. Bestowed the title Great Master of Arts and Crafts of China in 2007 based on the traditional arts and crafts conservation standard of China. The Great Master of Arts and Crafts of China is the most honorable title in the traditional arts and crafts industry in China. Sculptured Buddha images, and various kinds of wood and stone carvings. 1950年生。中華人民共和国伝統工芸美術保護条例に基づき、2007年「中国美術工芸美術大師」の称号を受く。 同称号は、中国伝統工芸美術産業最高の称号 佛像彫刻、木彫彫刻、石佛彫刻の制作 [写真集] 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 山門「仁王像」 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 釈迦堂「釈迦如来坐像」 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 地蔵堂「地蔵菩薩像」 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 講堂「初転法輪」 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 五百羅漢公園「五百羅漢像」 [参考資料] 中国美術工芸美術大師 中国工芸美術大師(人間国宝) 黄文寿仏師 中国福建省工芸美術大師 釈迦三尊佛 山門上層 「観経発起」の情景を彷彿させる、阿難尊者と目連尊者を従える釈迦三尊像。 仏像の仕上 金箔金泥仕上 [参考資料] 金泥 このサイトは、個人が念佛宗(念仏宗)無量寿寺の資料などを元に作成しており公式なものではありません。
https://w.atwiki.jp/shuinn/pages/1522.html
御朱印日誌12 平成22年7月から9月までにいただいた御朱印です。★印の神社仏閣では御朱印帳を頂きました。 H22.09.26 知立神社、遍照院、龍済寺、臨渓院、臥龍寺、瑞泉寺、犬山成田山、寂光院、桃太郎神社、三光稲荷神社、針綱神社、間々観音★、玉林寺、護国院 H22.09.25 甚目寺、大徳院、大智院、地蔵寺、慈光寺、宝蔵寺、野間大坊★、金蓮寺、西浦不動、ハズ観音 H22.09.19 新大仏寺、善福院、上野天神宮、愛染院、毘沙門寺、敢国神社、西方寺、府中神社、萬福寺、常福寺、神戸神社 H22.09.18 勝尾寺 H22.09.12 大善寺★、一の宮浅間神社★、増上寺 H22.09.11 富士山本宮浅間大社、北口本宮冨士浅間神社★ H22.09.04 華厳寺、円鏡寺 H22.08.29 砥鹿神社、養学院、豊川進雄神社、徳城寺、妙厳寺、萬徳寺、尾張大国霊神社、大神社、地蔵寺、乙津寺 H22.08.28 御嶽教木曽大教殿、御嶽神社田の原社務所★、御嶽神社遥拝所、御嶽神社頂上奥社、御嶽神社頂上奥社本宮、御嶽神社王滝口里宮、御嶽神社別殿 H22.08.21 明星院、比治山神社 H22.08.20 厳島神社、大願寺、大聖院★、弥山本堂 H22.08.19 宗像大社★、鎮国寺、宮地嶽神社、宮地嶽神社奥宮稲荷神社、宮地嶽神社奥宮不動神社、海心寺、志賀海神社、筥崎宮、恵光院 H22.08.18 住吉神社、妙円寺、南蔵院★、城戸文殊堂、城戸釈迦堂、城戸大日堂、田ノ浦拝師堂、城戸薬師堂、城戸千手観音堂、松ヶ瀬阿弥陀堂、桐ノ木谷大日堂、桐ノ木谷薬師堂、二瀬川観音堂、松ヶ瀬地蔵堂、宝山寺、郷ノ原地蔵堂、郷ノ原薬師堂、祖聖大寺、千鶴寺、大久保薬師堂、大久保観音堂、小浦薬師堂、一ノ滝寺、秀善寺、山手薬師堂、山手観音堂、山手薬師堂 H22.08.17 若八幡宮、承天寺、乳峰寺、聖福寺、東長寺、龍宮寺、櫛田神社★、警固神社、水鏡天満宮、太宰府天満宮、観世音寺、筑前国分寺、二日市八幡宮 H22.08.15 六角堂、誓願寺★、梨木神社、清浄華院、本禅寺、本満寺、大光明寺、護王神社★、菅原院天満宮神社、大聖寺、檀王法林寺、頂妙寺、要法寺、寂光寺、妙傳寺、満足稲荷神社、得浄明院 H22.08.14 兵庫県神戸護国神社 H22.08.13 関地蔵院、三重縣護国神社、比佐豆知神社、四天王寺、初馬寺、密蔵院、石薬師寺★、椿大神社 H22.08.10 六道珍皇寺 H22.08.09 福生院、那古野神社、愛知縣護国神社、名古屋東照宮、桜天神社、大須観音、富士浅間神社、七寺、興正寺、日泰寺、笠覆寺、泉増院、西方院、岐阜護国神社、岐阜大仏、岐阜善光寺、伊奈波神社★ H22.08.08 事任八幡宮、小国神社、可睡斎、油山寺★、尊永寺、府八幡宮 H22.08.07 静岡浅間神社★、御歳御祖神社、駿河国分寺、別雷神社、小梳神社、静岡県護国神社、富知六所浅間神社、米之宮浅間神社 H22.08.05 紀三井寺、瀧本院、粉河寺 H22.08.04 相馬神社、平岸天満宮、伏見稲荷神社、西野神社、大照寺、白石神社 H22.08.03 金毘羅密寺、隆光寺、北海道神宮、誓願寺、新栄寺、中央寺、立江寺、新琴似神社 H22.08.02 真言密寺、精周寺、浅草観音寺、日光院 H22.08.01 高月観音堂、浄光寺、渡岸寺観音堂、柏原阿弥陀堂、理覚院、円満寺、保延寺観音堂、保延寺阿弥陀堂、雨森観音堂 H22.07.31 杉本寺、報国寺、浄妙寺、明王院、光触寺、鎌倉宮、瑞泉寺、荏柄天神社、覚園寺、来迎寺(西御門)、宝戒寺、鶴岡八幡宮、旗上弁財天社、円応寺、建長寺★、妙高院、龍峰院、半僧坊、海蔵寺、浄光明寺、寿福寺、九品寺、光明寺、千手院、蓮乗院、補陀洛寺、来迎寺(材木座)、大巧寺 H22.07.30 法光寺、子の権現、八王寺、高幡不動★、深大寺★、深大寺元三大師堂、青渭神社、自動車交通安全祈祷殿★、平間寺、平間寺不動堂、平間寺薬師堂、若宮八幡宮 H22.07.29 浄心寺、観音寺、円泉寺、霊厳寺、高麗神社、聖天院、勝音寺、滝泉寺、長念寺、福徳寺 H22.07.26 村雲瑞龍寺 H22.07.18 龍泉寺、大峰蛇之倉七尾山、母公堂、洞辻茶屋、龍泉寺宿坊、大峯山寺、桜本坊宿坊、竹林院宿坊、東南院宿坊、喜蔵院宿坊 H22.07.17 岩間寺、石山寺、三井寺観音堂、微妙寺、三井寺金堂、三井寺釈迦堂、円満院 H22.07.10 姫島神社、杭瀬熊野神社、大物主神社、鴉宮、澪標住吉神社、甲子園素盞嗚神社、西宮神社、円満寺、打出天神社、魚崎八幡宮、東明八幡神社、船寺八幡宮、敏馬神社 -
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/751.html
陸奥国 河沼郡 牛沢組 小巻(こまき)村 大日本地誌大系第33巻 142コマ目 村南只見川の流れに水の渦回せる所ある故(ゆえ)に村名とせしとぞ。中頃小牧に作りしを寛文中(1661年~1673年)旧のもじとす。 府城の西に当り行程6里30町。 家数25軒、東西30間・南北40間。山足に住す。 東南の隅は只見川に臨み西は直に山に連なり東南北田圃(たんぼ)なり。 東6町12間柳津村に界ひ只見川を限りとす。 西1里野沢組長桜村の山に界ふ。 南6町野老沢村に隣りとの村際を界とす。 北6町15間椿村の界に至る。その村まで7町10間余。 山川 鳩倉山 村の西北1里余にあり。 高150丈計。 瑞光寺山 村東8町計只見川の岸にあり。 昔瑞光寺という柳津村圓蔵寺の塔頭ありし故名くという。 只見川 野老沢村の境内より来り、東に転じ西北に繞(めぐ)り椿村の界に入る。 境内を経ること凡18町計。 俗にこの村より下流を揚川(あかのかわ)という(柳津村の条下と照らし見るべし)。 牛沢川(うしがさはかわ) 村北にあり。 南とは村の西北1里余山奥野沢組泥浮山村の界一貫清水より出て、東南に流れて村東に至り板沢川(いたさはかわ)となり、東に流れて只見川に入る。 広3間計。 神社 稲荷神社 祭神 稲荷神? 相殿 熊野宮 若宮八幡 草創 不明 村西20間にあり。 鳥居拝殿あり。出倉村舟木伊勢が司なり。 Google Map神社? 祠 小巻地蔵堂
https://w.atwiki.jp/conveni/pages/28.html
フロアマネージャー データ 名前 得意レイアウト 熟知商品 教育力 体力 警備 清掃 接客 入手シナリオ 寺島 浩一 装飾型 弁当 70 70 20 20 35 - 新井 雅人 あっさり型 ソフトドリンク 70 70 20 35 20 - 武井 和正 あっさり型 アルコール類 70 70 35 20 20 - 小橋 隆 詰め込み型 玩具 50 80 20 20 15 - 広沢 紀男 警備重視型 加工食品 75 50 20 35 40 - 谷 真二郎 詰め込み型 生鮮食品 75 60 45 25 15 - 森岡 健二 雑然型 日用品 75 60 30 30 30 - 渡部 英世 雑然型 ソフトドリンク 75 50 30 35 30 - 杉内 俊之 あっさり型 弁当 70 80 25 25 25 - 神宮寺 克哉 警備重視型 アルコール類 80 60 45 45 50 - 地蔵堂 珍念 あっさり型 薬品類 95 20 20 50 40 - 稲毛 銀次 雑然型 アルコール類 70 70 40 25 25 - 海老塚 彩音 装飾型 ソフトドリンク 70 65 15 40 20 - 朝比奈 桜 あっさり型 日用品 70 65 15 20 40 - 古瀬 美奈子 雑然型 弁当類 70 65 15 45 15 - 阿武隈川 姫乃 豪華型 ペット用品 50 90 35 25 20 - 穂坂 理恵 あっさり型 生鮮食品 70 60 25 30 40 - 堺 寿子 詰め込み型 化粧品 80 60 25 30 30 - 徳永 静江 あっさり型 日用品 80 60 25 40 40 - 京極 タエ子 装飾過多型 生鮮食品 90 60 40 35 25 - 浜村通信 あっさり型 本類 100 60 40 40 70 シナリオ13(A) バカタール加藤 詰め込み型 本類 95 60 70 40 40 シナリオ9(A) 相沢 浩仁 装飾型 本類 90 60 40 70 40 シナリオ5(A) TSUBOI あっさり型 アミューズメント 100 60 50 50 50 「トライアル5」をクリア
https://w.atwiki.jp/sexyvoice/pages/257.html
2スレ 2-411様 スパイも愛を誓う の続き 「気持ち悪い……」 もう9月も終わりだと言うのに何この暑さ。ニコは駅のホームで電車を待っ ていた。 普段なら今頃昼休みで学食か教室でランチの筈なのに、食欲がなくひたすら 気分が悪いため早退してきてしまった。 「ロボんち行って休もうかな……」 ふとそんな事を考えていたら、いきなり目の前の景色が揺らいだ。 「あ、あれ……!?」 足元から力が抜けて行く。体が傾くのを感じた時、誰かに後ろから腕を捕まれた。 「ちょっと大丈夫?」 だが振向く間もなく、ニコは意識を失った。 「……気が付いた?」 目を開けると、保健室のような場所にいた。 「ん……」 「あ、良かった。気が付いたのね?」 声のした方を向くと、一海ちゃん位の歳頃の若い女性が心配そうに座っていた。 「ここは……?」 「駅の医務室よ。あなたホームで倒れたのよ?」 そうか、と先ほどの様子を思い出す。 「あなたが助けてくれたんですか?ありがとうございます」 「あ、ああ……いいのよそんな事」 女性は何か言いたそうな気がしたが、謙遜してるのだろうとニコは思い直した。 駅員に礼を言って部屋から出ると、ニコはもう1度彼女にも礼を言った。 「気にしないで」 これから仕事という彼女と電車に乗る自分はそこで別れた。 「早めに病院に行きなさいね」 と手を振って彼女は去って行った。 「ちょっと!そんな事してる場合じゃないでしょ?もういいから、ニコは休んで」 「大丈夫だよー、これ位」 結局ニコはまっすぐロボの部屋に行き、帰宅した彼にさっきの事を話した。 「ご飯位俺が……って何か少なくない?」 「ああ、あたしいらないから」 それを聞くとロボは慌ててニコからお玉をひったくった。 「もう!全然大丈夫じゃないじゃん!!自分でやるから寝て寝て。あ、おかゆは? うどんならどう?」 「ありがとう、でも今は食べたくない……」 じゃあ尚更とベッドに運ばれ半ば強引に寝かされた。 うとうとしながら、漠然と何かが引っ掛かるような違和感に捕らえられなが らも、すっと眠りに落ちていった。 数日後ニコは呼び出しを受けて地蔵堂に来た。 「あの!授業中に何回もメールしないで下さい」 「だってぇー、あなた返事くれないんだもの」 ニコの抗議には全く耳を貸さない。真境名は相変わらずのマイペース振りで 「よっちゃんマダー?」 なんて呑気に爪いじり。だから授業中は無理だっつーの!ニコは無駄な空気に 心で愚痴る。 「今回の依頼なんだけど、あなたの学校の近くに総合病院があるでしょ?そこで 変な事が起こってるんですって」 「変な事?」 仕事の話に知らずに顔が引締まる。それを確かめて真境名は話を始めた。 「それがね、食事のお盆が数人分空になってたり、洗濯済みシーツが汚れたのと すり換えられたり……悪戯行為だったのが、最近は未使用の注射針が全て折ら れてたり、薬品の盗難もあるらしいのよ。……それも外科病棟で頻繁にね」 話が終った所で奥から名梨がエプロン姿で出てきた。 「はーいできましたよっと、松茸の土瓶蒸し♪」 「あらー初物ね、いい匂い」 次の瞬間、ニコは口を抑えてしゃがみ込んだ。 「おい、ニコどうした!?」 「なあに?ちょっと大丈夫?」 「ご、ごめんなさい……ここんとこ体調悪くて」 またウッとなってニコは慌てて店を後にした。 「あいつ大丈夫っすかね?まだ残暑キツいからなあ」 「心配ねぇー……でもこの松茸いい匂いねえ」 店内には場違いな秋の味覚の香りが目一杯に漂っていた。 「出世!?」 先月ロボは珍しく好成績をあげ、大きな取引を成功させてやっとただの平社員 から格上げになるかもしれない。 「そうなんだ~。だからしばらく忙しくてスパイ活動は無理かも」 「そっか、仕方ないね」 「ゴメンね~、でも昇進したらお給料上がるかもしれないし、ニコと暮らせる のもそれだけ早くなるからさ~」 正直そんなのどうでもいいけど、ロボが何だか嬉しそうなのでニコは黙って 微笑んでいた。 「でも、ニコ体は?無理しちゃダメだからねっ!」 「うん」 優しく抱き締めてキスをしてくるロボとの優しい時間がどれ程2人にとって 大切だったのかという事にこの時はまだどちらも気付いていなかった。 翌日、ニコは潜入を開始した。 「まさかナースはヤバいしねぇ」 ととりあえず見舞いを装って(ロボはナースコスプレに未練がアリアリだったが) 院内をうろつきながら耳を澄ます。 しかし、これと言っておいそれとは情報が入るわけでもない。意外に地道な 稼業である。とその時、 「うっわああぁ!」 とある病室から悲鳴が響いた。 ニコが反射的にそっちへ向かって駆けると、同時に駆けて来た誰かとぶつかった。 「あ、ごめんなさい!」 「いえ、こちらこそ申し訳……」 その声に思わずあっと声を出す。 「あなたは……!?」 驚いたのはニコだけではなかった。 「ここの看護師さんだったんですね」 そう、先日駅で自分を介抱してくれたあの女性だったのだ。 「あの日はありがとうございました。仕事遅れちゃったんじゃないですか?」 「大丈夫、だって命を助けるのが仕事なんだもの。それよりあなたこそ大丈夫?」 優しい笑顔。こんなふうに人を癒す事ができるのも、きっと心から優しさが 溢れている気がして、ニコも微笑み返した。 ふと名札を見る。 「白井さん、ですか」 「ええ。あなたは?」 「ニコです。林二湖」 「お友達のお見舞いにでも見えたの?」 「ええ、そうなんです」 じゃあ仕事に戻るからという彼女と別れて再びさっきの病室へ向かう。 こっそりドアに耳を当てていると、ちょんちょんと背中をつつかれた。 「お姉ちゃん、パパに御用なの?」 5歳位の女の子がニコを見上げている。後から母親らしき人が 「さっちゃーん、勝手に先行っちゃだめよ」 とやって来る。マズい! 「あ、ここ『山田さん』だったのね?お姉ちゃん間違えちゃった、ごめんね」 さっちゃんとそのママにバイバイと頭を下げて慌てて立ち去る。……と見せ かけて、少し離れた場所で神経を集中させる。 『……信じられないよ。飲み薬をうっかり床に零して下をみたら、ジュウジュウ 煙があがってるんだ。もし飲んでたら今頃……』 『あなた、やっぱりこの病院恐いわ。転院できないかしら?』 『ああ、だがこの足じゃあな……せめて片足なら動けるんだが』 『でも、この前は朝食のパンに注射針が山程縫込まれてたって。変な事件にあなた が巻込まれたりしたら心配で……』 『まあ、そのうち良くなったら考えるよ。さっちゃん、こっちへおいで』 『パパァ、さっちゃんねえ絵書いて来たんだよ』 幸せそうな親子の会話。だがこの人は被害に遭っている。巻込まれたのか、 それとも……? 「とりあえず地蔵堂に帰って、と」 それにしても、何だろう?ナースの白井女史にニコはどこと無く違和感を 覚えていた。 「気のせいか……」 きっとそうだ。ニコは病棟を後にした。 何だ?また気分が悪くなって来た。地蔵堂からロボの部屋に向かいながら、 何か飲み物を買おうと手近なドラッグに駆け込んだ。 適当に飲み物を手に取ると、小さな子供がレジで風船を貰ってはしゃいでいる 姿に目を細めた。 ふと思い出す。さっきの子、さっちゃんって言ってたなぁ、可愛かったなあ。 その瞬間現実に引き戻される。 何となく頭の隅に生まれ始めていたそれが、一気に形を作って広がってゆく。 「そうなのかな……やっぱり」 震える足取りで、奥の棚へ向かった。 どう見えたのだろう?不自然にならなかっただろうか。 カサカサ揺れるビニールの中で揺れる紙袋がやけに重く感じて、一刻も早く 解放されるためにロボの部屋に急いだ。 熱気のこもった部屋のトイレでじわりと汗を流しながら、ニコは頭を抱えた。 いつかと漠然と考えていた事がいきなり現実になって、どうしていいかわから ない。 「ロボ……」 今日は休日なのに、片付かなかった仕事のために会社へ行ってまだ戻らない。 一刻も早く会いたくてたまらないのに。 そう考えているとドアの開く音がして、慌てて飛び出し、思わず手にしていた 物を箱ごと側のゴミ箱に突込んだ。 「あ~、ニコ来てたの?ただいマックス!……疲れたあ」 「お帰り」 今までになく疲労の色の濃いロボの顔を見ると、さっき自分に起こった事を 言い出す決心がなかなかつかなくなってしまった。 「ニコ?どうしたの、顔色良くないね」 「あ、ううん何でもない」 「ならいいけど……ごめんね、少し寝かせ……」 ろくに着替えもせずベッドに倒れ込むと、ロボは寝息を立て始めた。 それを見てニコは黙って部屋を出て行った。 玄関のドアを閉めると、携帯が鳴っている。 『着信・地蔵堂』 「……もしもし」 みるみる顔色を変えると、急いで地蔵堂へ向かった。 深夜の病棟に静かにナースサンダルの足音だけが聞こえる。 ある部屋の前で足を止めると静かに中に滑り込み、ベッドの側に寄り添う様 に立つ……と、 『何しに来たんだ』 布団の下のターゲットは訪問者に声を掛けた。 『何をする気なんだ……?』 「貴方を私の物にするのよ」 その瞬間にベッドから伸びた手が訪問者を捕らえた。 「ひっ!」 驚いた拍子に後ろ手に隠し持った注射器が床で音を立てて割れた。 「誰?誰なの!?」 確かに男の……『あの人』の声なのに! 「ねえ、誰!?」 布団から伸びた腕は若い女のそれなのに。 「あたしです」 布団の下から現われた相手を見て、深夜の訪問者は息をのんだ。 「どうして……?」 「あなたに罪を負わせたくないんです」 その少女は静かに言った。先ほどの低い男の物ではなく普通の女の子の声で。 「あなたは優しい人だもの。……そうでしょ?白井さん」 名を呼ぶと彼女は部屋から飛び出して行った。 「待って!お願い待って!!」 後を追う少女――――ニコもまた必死で彼女を追った。 金網の朽ちかけた古い手摺の向こう側に彼女はいた。ここは屋上だ。深夜なら 尚更誰も来やしない。 「来ないで!」 白いナース服が暗闇に揺れている。 「どうして?あなたみたいな人がどうしてこんな事したの?」 ニコは揺れる人影に一気に近付きたいのを我慢して、じりじり距離を縮めな がら話しかける。 「あの人を本当に愛してたから……なのに、あの人には家族がいて、帰る場所が あって。私は……私はどんなに待ってもそれを手に入れる事が出来なかったの」 震える手で錆びた手摺を握りながら彼女は答えた。 「あの人が私以外の人と一緒になるって言い出した時、私と別れるのは嫌だと 言ったくせに……!私がやっぱり別れてやり直して欲しいと我慢出来ずに口に した途端、それは無理だ、でも お前とは別れない……」 「………………」 「疲れちゃったのよ。不倫にも、生きて行く事にも……おかしいでしょ?安っぽい 昼メロみたいね」 自嘲気味に笑うその瞳には涙が光っていた。 「ニコさんっていったわね。どうしてわかったの?」 ニコはゆっくり近付いて口を開いた。 「被害に遭った人を調べたら、必ずその中にいたのが山田さんだった。あの人が 事故で運ばれて来た頃に、あなたがこの病院に来てる。それにあなた外科病棟 のナースじゃない」 「どうしてわかったの?」 「あの日違和感を感じたわけがわかった……普通騒ぎのあった方へ行く筈なのに、あなた逆に、 つまりその場から逃げようとしてたから。あの後あたしと雑談 する暇があるという事は別にそっちに急ぎの用があったわけじゃない。急患とか」 「………………」 「それに外科病棟に勤務してたらすぐ顔を合わせてしまうから、何かあったら あなた真っ先に疑われちゃうから」 ニコの言葉に驚きを隠せない様子で彼女は静かに呟いた。 「あなたは……一体何者なの?」 「あたしはスパイ。依頼を受けて今日張り込んでたの」 「あなたって……」 目の前にニコが近付いているのも咎めるのを忘れて、呆然と立ち尽くしていた。 「初めはちょっとした嫌がらせで、あの人が困るのを楽しんでたの。ざまあ見ろ ってね。でも、あの人の妻や子が当たり前の顔で堂々と会いに来る度自分が どんどん惨めな女に思えて来て……あの人はあの人で私の事なんて思い出してもいない様だった」 涙を溢れさせしゃくり上げながら彼女は続けた。 「そのうち憎くて許せなくなったのよ。……だから彼を殺して私も死ぬつもりで」 ニコは手を差し延べながらゆっくり穏やかな声で話しかけた。 「でも、もし山田さんが死んだら、何の罪もないさっちゃんが悲しむよ。大事な 人がいなくなったら、きっとその人の世界を狂わせてしまう事になる」 「…………」 「あなたは命を助けるのが仕事だって言った。あたしにも救える命があるなら、 そうしたいと思う」 ニコが手を差し延べる。 「あたしはあなたを救いたい」 ニコの言葉にふっと頬を弛ませると、その手を取って彼女はこちら側へ手摺を 乗り越え戻った。 「良かった……」 ホッと息をついて何気に1つ横の手摺にもたれかかった、その時。 「えっ!?」 ニコの視界がグラリと揺れた。 ガシャン!! 「ひっ……!?」 朽ちた手摺が崩れ、ニコの体は今にも屋上から叩き落とされてしまいそうに なっている。 「しっかり!だ、誰か、誰かーーーーっ!!」 ナースが片腕を掴み、もう片方の手でかろうじて朽ちた手摺の根元を掴んで いるため何とか落下せずにいる。 「くっ……!」 あたしはまだ死ぬわけにはいかない。やりたい事もあるし、やらなきゃいけ ない事もある。 「助けて……ロボ」 会いたい、ロボに会いたい。 「ロボ……」 そしてまだ見ぬあなたに。 「ローボーーーーッ!!」 手摺が崩れる。その瞬間、もうダメだと思ったニコのその腕を誰かが掴んだ。 「お、遅れてゴメンね。もうちょっと頑張って!」 「ロボ……」 息を切らしながら汗ビッショリで必死に体を引っ張り上げようとするロボが いた。 「だ……ダメ、このままじゃ」 自分だけじゃなく他の2人も落ちてしまう。ニコは決意した。 「離して」 「ニコ?」 「いいから離して!これじゃみんな危ない!!」 だがロボは首を振った。 「嫌だ。……俺言ったでしょ?ニコが死んだら生きていけない、って」 その言葉にナースも頷く。 「私も離さないわよ。命を救うのが仕事なんだもの!」 必死で2人はニコの腕を掴み、渾身の力を振り絞ってその体を引き上げた。 「やっ……たぁ!」 「ハアハァ……も、もう大丈夫ね」 絶対絶命の状態から帰還した3人はそれぞれ安堵し、コンクリートの上に倒れ 込んだ。 「……あ、ありがとう。ロボも、白井さんも」 「助けられたのは私の方よ」 彼女は額にかいた汗を拭いながら呟いた。 「あなたがいなかったら何もかも失う所だった。愛した人の命も、私の人生も。 それに、罪のない人間の幸せを奪ってしまう事にも」 ナース服の埃をはたきながら立ち上がると、 「何だか目が醒めた。……全て綺麗にして、新しい世界で生きる決心がついたわ。 ありがとう」 出入口の扉に向かって歩き出した。 「あの!……ニコを、2人を助けてくれてありがとうございます!!」 ニコはそう叫んで立ち上がったロボを驚きの瞳で見上げた。 ナースもまた驚いた顔で一瞬足を止め振向いたが、ニコを笑顔で抱き寄せる ロボの姿を見ると、優しく微笑んで扉の向こうに消えた。 ニコは自分のお腹に当てられたロボの手の暖かさに戸惑っていた。 「ロボ」 「もう!無茶するんだから……でも、俺がちゃんと側にいてあげられなかった からだね。ゴメンね」 そう言ってニコの頭をゆっくり撫でた。 「どうして……」 「ゴミ箱ひっくり返しちゃって……そしたら見つけちゃったんだ。その証拠」 束の間の眠りから目覚めたロボがトイレに立つと、名梨からの電話が入った。 ニコが病院に潜入した頃、念の為にロボに応援を頼むと名梨に言われて、携帯を 握ったまま慌てて側のゴミ箱にけつまづいたロボはそこに思わぬものを見た。 「あたし、慌ててそこに突込んじゃったから……」 「多分ニコが変だったのはそのせいかもなって。なんか納得しちゃった」 「……まさか見た?」 「いやさすがにそれはしないって!でも、俺の予想当たってる……よね?」 「……うん」 まさか自分がそんな物を使う事になるとは思わなかった。 『新しい命の証し』 「1人で悩ませちゃってゴメンね。もう大丈夫だからね」 ロボは優しくぎゅっとニコを抱き締める。 「今度こそ何も心配しなくてもいいから」 「ロボ」 「……思ったより早いけど、ついにあれが役に立つ時が来たわけか~。」 部屋の隅の箱の中身の品を思い出す。小さな服や、可愛いオモチャ達。 ニコは黙り込んだままロボにしがみつくように泣き出した。 「それでいいのかな」 「ん?」 「あたしまだ学生だし、自分1人じゃ何も出来ない子供だよ?昔と結局そんなに 変わってないのかもしれない。ロボだっていきなり生活変わっちゃうんだよ?」 「……俺は大丈夫だよ。変わっていくのが生きていくって事なんだからさ。 そりゃこれまでみたいに好き勝手にはいかないのかもしれないけどさ、 そのかわりに手に入る物ができたんだと思ってる」 ロボはニコの手を握り締めたまま、その頬に流れる涙にくちづけ、そのまま 唇にキスを落とす。 「そりゃ驚かないとか、全く戸惑ってないって言ったら嘘になるけど……少し 予定が早まっちゃっただけだよ」 「そうかな」 「だってせっかく急いで幸子が会いに来てくれるんだよ?」 ニコの不安を吹き飛ばすような笑顔でロボは続けた。 「だから一緒に生きて行こうよ。ニコはもう1人じゃないんだよ」 「うん。……うん、ロボ」 お腹に当てた暖かいロボの手の温もりに、ニコもそっと自分の手を重ねた。 翌日ニコは学校を、ロボは会社を休んで2人で地蔵堂へ行き、名梨と例の 病院へ向かった。 すでに被害者の山田に話は伝わっていて、ふて腐れながら彼は新しい病室で 待っていた。 「随分広い部屋だな~」 ロボの言葉にブスッとしたままベッドの上の彼は答えた。 「当然じゃないか、迷惑掛けられたんだから」 院長が『退院後に他言はしない様』口止めとして用意したのだろう。表向き 詫びの意味もあるだろうけど、なにせここは院内最高の特別室なのだから。 「犯人はもうわかってるんですよね?……彼女を許してあげて下さい」 「冗談じゃない!ったく物分りのいい女だと思ってたらとんでもない奴だったよ。 黙ってりゃ悪い様にはしないって言ってやってたのに」 つとめて冷静に言ったつもりのニコの言葉に冷たく返して来た男の声に、部屋 の空気が凍った。気付かないのは当人だけ。 「あー、言い忘れてたけど、院長とは別にお宅からも報酬を頂きに来たんすよね」 「あ?」 名梨が喋りながらニコに目配せした。 「じゃあ失礼します」とニコは言葉と同時に山田の顔に渾身の一撃をくらわした。 「お~、これが噂の左ストレートかぁ?」 「な?すげー威力だろ?……ロボお前これから受身の練習しとけ」 ニコの必殺パンチをモロに食らった経験のある名梨とアドバイス(?)を真剣に 受けるロボの2人に一睨みを効かすと、 「まけといてあげましたから」 とニコはロボの腕を掴んで病室を出た。 「な、何だあのガキ!?おい、あんた達ふざけた真似すると……」 「あ?言っとくけどお宅とあの女の関係は調査済みだぜ。腹探られたらヤバい のはそっちじゃねえの?あんた婿養子なんだろ?次期社長さん」 名梨は悔しそうに歯ぎしりする山田の肩をポンと叩くと、 「ま、元々依頼主はあんたじゃねえんだ。ここらでキレイサッパリ切りましょうや」 と悠々と出て行った。 最後に一睨み入れるのも忘れずに。 「白井さん!」 病院の敷地を出る直前に彼女を見つけ、ニコは思わず声を掛けた。 「あ、あなた達……」 「これからどうするんですか?」 ロボは両手に持った荷物に目を向け聞いた。 「今辞表を出して、これから田舎へ帰るの。私の事穏便に片付けてくれる様に 運んでくれたの、あなた達なんでしょう?」 「だってあなたは誰も傷付けなかったから」 ニコは今回報酬を初めて自分から要求した。彼女への処分と相手への制裁。 「出世に目が眩んで私を捨てようとした時、さっさと見切りを付けられたら 良かったのよね。本当バカだわ」 「そんな……」 「いいのよ。……お金ってないと困るけど、欲は度を越えると人の心まで変え てしまう物なのね。あの人には荷が重過ぎたのよ。あの時しがみつかずに別れていたら 互いの為に良かったのに」 己の欲に目が眩んだ男と、愛に負けた女が生んだ結果の不倫劇はある意味 悲劇だったのかもしれない。 「ありがとう」 そう告げて一旦背中を向けたが、また2人の方へ向き直すと 「あのねニコさん。あなたに言わなきゃいけない事があったわ」 と言い出した。 「あなたを駅で助けたのは私じゃないの」 「えっ?」 いきなり何を言い出すかとロボも目を丸くした。 「ホームで下手すれば線路へ倒れ込みそうになったあなたを瞬時に捕まえて 声を掛けたのは、側にいた他の女性だったの。私はたまたま通り掛かって、 医務室に運ぶのを手伝っただけ」 「そうなんですか……」 だったら何故。 「その人に頼まれたの。自分の事は言わないでって」 「あたしの知ってる人?……」 「その人はどんな人でしたか?ニコを助けてくれたんだ、教えて下さい」 ロボの言葉に、少し考え込む様子を見せたが頷いた。 「そうね、もういいわね。あなた達には借りもあるし。……その人もナースだ って言ってたわ。中年のハキハキした女性だった」 2人は思わず顔を見合わせた。 「あなたを見て『随分大人になったわね』って懐しそうに眺めてたわ。私が止め ても『いいのよ』って出て行った。ねえ、ロボってあなた?」 頷いたロボと横のニコの顔を交互に見ながら、 「あなたの『ロボ』って寝言を聞いてその人『幸せなのね』って、嬉しそうに 呟いてたのよ、最後に」 そう言うと軽く頭を下げて彼女は去って行った。 「ロボ……」 「うん。あの人だったんだね」 あたしを助けてくれたのは、あの時ロボの世界を変えた人。 ニコの胸に懐かしさと感謝の他に、きゅっと締付けられる想いが複雑に表れて は消えてゆく。 「今の俺にはもう過ぎた時間だから」 優しく、でも強い手がニコの手を握り締める。 ニコは驚いてロボの顔をまじまじと見た。 「ニコの考えてる事はわかるって言ったでしょ?」 手を繋ぎながらゆっくりと歩き出す。 「またニコと出会って、今度は好きになって。俺の世界は随分色を変えていく。 大人になってしまうとある程度固まってしまう景色が、どんどん変わって いくんだ。……もうニコのいない世界なんか考えられないから」 「ロボ……」 あたしもロボがいなくなったら、今の世界は崩れてしまう。ニコは強くそう 想う。 「ずっと同じじゃなくてもいい。ロボのいる世界で生きていたい」 一度枯れた花はまたその種で新たに花を咲かせた。その種をまた自分達で蒔き 新たな花を咲かせるのだ。 自分達にはきっとそれができる。 「ニコ、幸子に会うためにこれから忙しくなるよ。大変だけどついて来てね」 「うん」 自分は愛されている。 互いにそう信じ合っていると信じて2人は決意を固めた。 「行こうか」 「うん。ロボ……あたし後悔しないからね」 「俺も。しないし……させない」 寄り添って歩き出す。 「秋だと言うのに、まだまだ熱っついねぇ……」 その2人を名梨が遠く見送っている……。 *******終 3-82様 LIFE(エピローグ) へ続く
https://w.atwiki.jp/treborsp/pages/179.html
第1番 鏡宝寺 佐倉市六崎791 043-486-2900 第2番 玉蔵院 佐倉市神門532 第3番 広福院 佐倉市大篠塚767 廃寺 第4番 慈眼寺 佐倉市小篠塚570 第5番 宝鏡院 佐倉市木野子258 廃寺 第6番 円妙院 佐倉市上別所175 第7番 新照寺 佐倉市太田1457 043-484-2316 第8番 宝金剛寺 佐倉市直弥172 043-498-2515 第9番 養昌寺 佐倉市石川154 043-484-0315 第10番 円城寺 佐倉市城672 無住? 第11番 正光院 佐倉市高崎554 第12番 西光寺 佐倉市下勝田285 廃寺 第13番 圓林寺 佐倉市寒風辺田22 廃寺 第14番 密蔵院 佐倉市寺崎字新小路2960 043-484-1395 第15番 宝寿院 佐倉市天辺180 第16番 観音堂 佐倉市宮本219 廃寺 第17番 大聖院 佐倉市鏑木町1-661 043-484-1682 第18番 周徳院 佐倉市鏑木町1-622 043-486-0366 第19番 勢至堂 佐倉市米戸199 廃寺 第20番 不動院 佐倉市八木212 廃寺 第21番 全養院 佐倉市馬渡874 第22番 東泉寺 佐倉市太田1741 第23番 吉祥寺 酒々井町本佐倉687 043-496-2304 第24番 善養院 佐倉市馬渡874 043-498-4473 第25番 宗徳寺 佐倉市臼井台字寺前1277 第26番 西教寺 佐倉市江原新田91 廃寺 第27番 子ノ権現 佐倉市寒風辺田107 第28番 東慶院 佐倉市大蛇東慶院前720 廃寺 第29番 圓応寺 佐倉市臼井田町966 第30番 満蔵院 佐倉市本町 廃寺 第31番 勝全寺 佐倉市鏑木町1147 第32番 養福寺 佐倉市長熊397 廃寺 第33番 自性院 佐倉市大蛇86 廃寺 第34番 多宝院 佐倉市直弥172 廃寺 第35番 万福寺 佐倉市吉見510 043-487-4071 第36番 観音堂 佐倉市羽鳥1017 第37番 万福寺 佐倉市吉見510 043-487-4071 第38番 浅間社 佐倉市六崎890 第39番 延光院 佐倉市高崎554 廃寺 第40番 光徳院 酒々井町本佐倉字根古谷 廃寺 第41番 天神社 佐倉市吉見782 廃寺 第42番 地蔵堂 佐倉市吉見185 廃寺 第43番 観音堂 佐倉市生谷490 廃寺 第44番 圓福寺 佐倉市吉見510 廃寺 第45番 正光寺 佐倉市畔田400-1 第46番 地蔵堂 四街道市成山59 廃寺 第47番 阿弥陀堂 佐倉市生谷437 廃寺 第48番 光勝寺 佐倉市臼井字小笹台1236 043-487-3108 第49番 長榮寺 佐倉市石川156 廃寺 第50番 吉祥寺 四街道市小名木内釜160 廃寺 第51番 普門院 佐倉市羽鳥字台1044 043-484-2830 第52番 印東寺 佐倉市馬渡大内670 廃寺 第53番 阿弥陀堂 佐倉市羽鳥1090 廃寺 第54番 延命寺 佐倉市馬渡874 廃寺 第55番 三島稲荷 佐倉市直弥172 廃寺 第56番 妙見堂 佐倉市六崎小山崎1061 廃寺 第57番 勝寿寺 佐倉市弥勒町95-1 043-484-2307(勝胤寺) 無住? 第58番 周徳院 佐倉市鏑木町1-622 043-486-0366 第59番 薬師堂 四街道市和田 廃寺 第60番 祥福寺 四街道市長岡379 廃寺 第61番 専榮寺 佐倉市生谷507 第62番 天神社 佐倉市吉見782 廃寺 第63番 西教寺 佐倉市江原新田91 廃寺 第64番 成福院 佐倉市飯重924 第65番 熊野権現 佐倉市飯重924 廃寺 第66番 常福寺 四街道市山梨479 廃寺 第67番 薬師堂 千葉市若葉区旦谷町232 廃寺 第68番 善光寺 四街道市鹿渡字坊作334 043-432-9335 第69番 浄光寺 佐倉市羽鳥1110 廃寺 第70番 清光寺 酒々井町本佐倉206 043-496-0739 第71番 権現社 佐倉市吉見782 廃寺 第72番 福寿院 四街道市鹿渡字坊作334 043-432-9335 廃寺 第73番 少林寺 佐倉市吉見190 廃寺 第74番 成福院 佐倉市飯重924 元「東福院」 第75番 善通寺 千葉市若葉区旦谷町232 廃寺 第76番 普門院 佐倉市六崎871 043-484-1682(大聖院) 無住? 第77番 西福寺 佐倉市大篠塚840 第78番 清久寺 四街道市亀崎鍛冶内370 043-423-9818 第79番 道祖神社 佐倉市上代 廃寺 第80番 薬師堂 四街道市上野129 廃寺 第81番 嶺南寺 佐倉市新町字仲町74 043-485-1475 第82番 林正寺 佐倉市上座68 廃寺 第83番 圓福寺 佐倉市吉見510 廃寺 第84番 成就院 佐倉市飯重924 廃寺 第85番 蓮花寺 四街道市栗山450 第86番 東泉寺 佐倉市太田1741 第87番 阿弥陀堂 四街道市亀崎鍛冶内370 第88番 常楽寺 佐倉市臼井田町24